「俺を占わないでほしいんです」
「……どうしてそんなことを言うの?」
占ってはいけないほど、私、カイルに何かした? もしくはあの時の占いに不満が……ううん。だってそれがあったから、今ここにいるって馬車の中で言っていたじゃない。あれは嘘だったの?
「俺はリュシアナ様が初めて占った相手。その肩書を上書きしたくないんです」
「は?」
確かに前世も含めて、他人を占ったのはカイルが初めてだった。でも、だからって……。
「二度三度、占ったところで、上書きなんてされるわけがないでしょう!」
「されます!」
「それじゃ、カイルとはもうキスをしない! 私のファーストキスが上書きされちゃうからね」
「えっ、そ、それは困ります!」
ならキスをして、とカイルに向かって両手を広げる。それでもどうしていいのか迷っているカイルの背中を押すように、私は目を閉じた。
するとカイルの手が私の背中と頭を掴み、まるで今まで我慢していたのだといわんばかりに唇を押し付けてきた。けれどそれは私も同じだった。
タリアの幸せそうな顔や境遇を見て、私だって羨ましく思わないはずはなかった。カイルが、好きな人がこんなにも近くにいるのに、触れてもくれないなんて嫌だもの。
大事にされている実感はあっても、愛されている実感が欲しかった。
それに応えるように、深く口づけをされ、もう一層のこと、これがファーストキスでもいいと思った。激しく求められる心地よさからか、頭がクラクラしたからだ。
確かに上書きされたかもしれない。
「……どうしてそんなことを言うの?」
占ってはいけないほど、私、カイルに何かした? もしくはあの時の占いに不満が……ううん。だってそれがあったから、今ここにいるって馬車の中で言っていたじゃない。あれは嘘だったの?
「俺はリュシアナ様が初めて占った相手。その肩書を上書きしたくないんです」
「は?」
確かに前世も含めて、他人を占ったのはカイルが初めてだった。でも、だからって……。
「二度三度、占ったところで、上書きなんてされるわけがないでしょう!」
「されます!」
「それじゃ、カイルとはもうキスをしない! 私のファーストキスが上書きされちゃうからね」
「えっ、そ、それは困ります!」
ならキスをして、とカイルに向かって両手を広げる。それでもどうしていいのか迷っているカイルの背中を押すように、私は目を閉じた。
するとカイルの手が私の背中と頭を掴み、まるで今まで我慢していたのだといわんばかりに唇を押し付けてきた。けれどそれは私も同じだった。
タリアの幸せそうな顔や境遇を見て、私だって羨ましく思わないはずはなかった。カイルが、好きな人がこんなにも近くにいるのに、触れてもくれないなんて嫌だもの。
大事にされている実感はあっても、愛されている実感が欲しかった。
それに応えるように、深く口づけをされ、もう一層のこと、これがファーストキスでもいいと思った。激しく求められる心地よさからか、頭がクラクラしたからだ。
確かに上書きされたかもしれない。



