転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「クラリーチェ殿下の後ろ盾ですからね。この戦争が終わった後のことを、考えてのことなのでしょう。クラリーチェ殿下がリュシアナ様のお命を狙っているのは、ご存知のはずですから」
「……そうね」
「あまり落ち込まないでください。グレティスのことを言わなかったのは、俺の落ち度ですが、クラリーチェ殿下のことは、リュシアナ様のせいではありません」
「だけど、私の占いのせいで――……」
「その占いがあったから、俺はここにいるんです。覚えていませんか? 俺を占った時のことを」

 確か、タロットカードを入手してすぐの時に、カイルを占ったのだ。

「あの時、リュシアナ様は『相手のために、冷静な判断を下せば、俺にとってもより良い未来が待っている』とおっしゃいました。冷静な判断が下せたか、については怪しいところですが、リュシアナ様のためにできる最善の方法を取ったから襲撃に間に合い、お守りすることができたのです」
「『THE() LOVERS(ラバーズ)』(恋人)のカード……」
「そうです。リュシアナ様が好きだから、ここにいるんです。再び、お傍にいさせてもらえますか?」
「私、あれだけ酷い態度をとったのに」

 それでも私を想ってくれるカイルに、涙が出た。

「先ほども言ったように、俺の落ち度です。叱られても仕方がありません。むしろ愛想をつかされたのかと思っていました」
「そんなこと、あるわけないじゃない。どれだけ心細かったと思っているのよ」
「っ!」

 カイルの服を握り締めるのが早かったのか、顔が近づくのが早かったのか。唇が重なった。その瞬間、馬車もまた停車した。