「それで陛下から、リュシアナ様の元へ行く名目を作れと言われ、まず近衛騎士団長のところへ行きました。残念ながら俺の力では、勝手に配置を変えることはできないのです」
カイルは私の護衛である前に、近衛騎士団の団員でもある。一度、護衛の任を解かれれば、近衛騎士団に戻るのは当然のことだった。
「協力を煽ったところ、何かことが起こらない以上、リュシアナ様の警護を強化することも、離宮の警備を増員させることもできない、と言われました。ユーリウス殿下に掛け合っても、同じことを言われ、どれだけもどかしかったか」
私も同じ気持ちだった、と言えない代わりに、抱きしめている腕に力を入れた。すると、カイルの鼓動が速くなった。
「み、ミサ殿が、リュシアナ様が王宮を離れた後、ずっと情報収集をしていたらしく。そこで聞いたんです。リュシアナ様の乗る馬車を襲撃しようとしている、と」
「っ!」
「さらに調べたら、トリヴェル侯爵邸がアジトになっていました。おそらくもぬけの殻にしたのは、カモフラージュだったのでしょう。実際には逃げておらず、リュシアナ様の動向を探っていたようです」
「どうして、トリヴェル侯爵が……」
いつの間にか馬車の速度が緩やかになっていた。
カイルは私の護衛である前に、近衛騎士団の団員でもある。一度、護衛の任を解かれれば、近衛騎士団に戻るのは当然のことだった。
「協力を煽ったところ、何かことが起こらない以上、リュシアナ様の警護を強化することも、離宮の警備を増員させることもできない、と言われました。ユーリウス殿下に掛け合っても、同じことを言われ、どれだけもどかしかったか」
私も同じ気持ちだった、と言えない代わりに、抱きしめている腕に力を入れた。すると、カイルの鼓動が速くなった。
「み、ミサ殿が、リュシアナ様が王宮を離れた後、ずっと情報収集をしていたらしく。そこで聞いたんです。リュシアナ様の乗る馬車を襲撃しようとしている、と」
「っ!」
「さらに調べたら、トリヴェル侯爵邸がアジトになっていました。おそらくもぬけの殻にしたのは、カモフラージュだったのでしょう。実際には逃げておらず、リュシアナ様の動向を探っていたようです」
「どうして、トリヴェル侯爵が……」
いつの間にか馬車の速度が緩やかになっていた。



