お父様の命令に背き、離宮へ行くように言われてから、一週間くらい経っただろうか。王宮から出る時もそうだったが、随分と時間がかかっているような気がした。

 お陰でミサに謝ることはできたけど……離宮について行くことができない、と言われてしまい悲しかった。
 カイルの方は、さらに悲惨だ。お父様に出ていけ、と言われた翌日から会えていないのだ。ミサが言うには、私の護衛を外されたのだとか。謝る機会すらなく、離れ離れになってしまうなんて……ますます占いに自信が持てなくなった。

 あれだけ王宮でもてはやされていても、所詮、私の占いなんて、耳心地のいいことを言っているだけなのだ。皆の喜ぶ顔が見たくて、いいことしか言えない。そんな八方美人な私がもたらしたのは、国と民を危険に晒すことだった。

 もう占いなんてしない。離宮で大人しく過ごそう。だけど、タロットカードを手放すことはできなかった。

「リュシアナ様。そろそろ出発します」

 宿の一室で身支度を整えていると、扉越しに声をかけられた。王宮から離宮までは距離があり、こうして宿に泊まりながらの移動なのだ。