転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

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 フェルナンド・アルフェリオン殿

 もうお忘れかと思いますが、クラリーチェです。いえ、もう私のことなど忘れたい、と思っていらっしゃる、の間違いでしたね。けれど私は忘れません。おそらく、この憎しみは消えることはないでしょう。

 ノルヴィア帝国に嫁いでから、さらに憎悪が増しました。なぜだと思いますか? リュシアナの代わりに嫁がされたからではありません。お母様と同じように、愛してもいない方に嫁がされたからです。

 つまり夫となる方は、いわばお父様と同じ立場。にもかかわらず、私を労わってくださいました。すぐに私が身代わりで嫁がされたと分かったからです。
 ここの時点ですでに、お父様と度量の違いがはっきりしましたね。そう、あなたは取るに足らない人物だということです。

 私の虚しさを分かっていただけますか? こんな器量の狭い男のために、お母様と私がずっと苦しめられていたなんて。そう思っただけで、(はらわた)が煮えくり返りました。私が生きた、二十四年間。お母様が嫁がされてからですと、二十七年間ですね。きっちり返していただきます。

 オクタヴィアを殺害しただけで、私の恨みが晴れるなどと思わないでいただきたいですわ!

 クラリーチェ

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