転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

 陛下がリュシアナ様を大事に想われているのは、周知の事実。この王宮で知らない者はいない、と断言できるほど有名な話だった。だから多少リュシアナ様に対して、陛下が無理なことをしたり、言ったりしても、皆、目を瞑っていたのだ。酷い場合は、リュシアナ様が諫めてくれる、という安全装置があったからだ。

 それもあって、ノルヴィア帝国がリュシアナ様を求めた時、身代わりにクラリーチェ殿下を指名しても、誰も反対する者はいなかった。それだけ陛下にとってリュシアナ様は、何が何でも手放したくない存在なのを知っていたからだ。

 そのリュシアナ様を僻地に送ることだって理解できないのに、護衛をつけない?

 それを当然の如くいう陛下に疑問を抱いた。

「クラリーチェの目的は、アルフェリオン王国を滅ぼすことだが、標的は私だ。復讐するためならなんだってする。十五年前、王妃……オクタヴィアを殺害し、リュシアナを仕留め損ねたのだ。今回は確実に狙うだろう」
「……そんな危険な立場なら、余計に護衛が必要ではありませんか」
「お前はすでに、クラリーチェの知るところにある。離宮の周りにカイルがいれば、リュシアナの居場所がバレてしまうだろう」

 つまり陛下は、クラリーチェ殿下からリュシアナ様を守るために、離宮へ追いやろうと画策されたのだ。
 占えない事項は、ミサ殿がやってきた人たちに対して、事前に説明をしているから、陛下が臣下の誰かから聞いたのだろう。リュシアナ様が占えない、と確実に断言すると分かっていての処置だったとは……恐れ入る。