転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

 悪いことは、まるで待っていたかのように連鎖反応を起こし、次々とリュシアナ様を巻き込んでいった。俺は、というと……。

「どうしてですか!」

 この王宮で一番広く、そして豪華でありながらも洗練された執務室内にいた。机に手を突き、陛下に向かって叫ぶ。一介の騎士がやってもいい行為ではないというのに、陛下は叱責することなく、黙って俺の言葉を受け入れてくれた。
 さらに俺が抗議に来ることを分かっていたのか、執務室にいるのは、俺と陛下だけ。事前に人払いをしているほど、周到な人がなぜ……。

「リュシアナ様の護衛は俺です! どうしてついて行ってはいけないのですか!?」

 ノルヴィア帝国との戦争の命運を占え、という陛下の命令に逆らったリュシアナ様は、王家が所有する離宮へと住まいを移されることとなった。場所が僻地にあるため、実質上の追放である。

 そこに俺も、当然お供できると思っていた。なにせリュシアナ様の護衛は俺だ。僻地だというならば、余計に必要だろう? 情勢もまた、変化しつつあるのだ。

「ノルヴィア帝国が攻め込んでくれば、アルフェリオン王国は戦時下に入るのです。リュシアナ様に護衛がつかないなど、あってはなりません」
「カイルよ。だからこそお前を外すのだ」
「それは……どういうことですか?」