転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「占いとは、未来を決定づけるためにするものではありません。未来を豊かにさせるために、ほんの少しだけ背中を押すような、そんなアドバイスをカードが教えてくれるのです。だから――……」
「アルフェリオン王国が滅びれば、お前も無事ではないのだぞ。それでも無理だというのか!」
「……禁忌を犯すことはできません!」
「王命だとしても、か?」
「はい」

 お父様の水色の瞳が私を見つめる。強い意思が宿った、美しい瞳。それでいて、頑固そうな瞳だと思った。
 この水面(みなも)を揺るがすことなどできないのでは? と思った瞬間、波紋が見えたような気がした。が、やはり見間違いだったようだ。

「聞けないというのは、王命に逆らったことと同じ。リュシアナ・アルフェリオン。王女としての義務すら果たせない者など、王宮にいる資格はない。直ちに出ていけ」

 冷たく言い放つお父様の声が、無情にも与えてもらったばかりの占い部屋に響いた。けれど私の心に響いたのは、悲しみではなく安堵だった。

 これで一人になれる。今はただ、カイルのことも、ミサのことも、家族の問題からも……距離を置きたい。心が……壊れそうだった。