タロットカードは抽象的で曖昧。具体的な答えはもらえないのに、この騒めきはなんだろう。
二十二枚ある大アルカナの中で、運命の輪は強いカードだから? 分からない。でも、嫌な感じが拭えない。
「……ュシアナ様。リュシアナ様!」
「っ! カイル?」
突然、目の前に大きな手が現れた。驚いて振り向くと、どこか焦ったような顔の中に不安を滲ませた、カイルの顔があった。
「申し訳ありません、大声を出して。けれどテーブルに頭をぶつけそうだったので……」
「えっ、あ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたものだから、気がつかなかったわ。ありがとう、カイル」
「考え事、ですか。それならば、よかったです」
言葉ではそう言っているものの、表情に安堵の色が見えない。私はこれ以上、心配をかけまいと、テーブルに敷いていたネイビーの布でタロットカードを包んだ。今日はもう占いをしない、という合図を、カイルだけではなく、ミサにも送った。
二十二枚ある大アルカナの中で、運命の輪は強いカードだから? 分からない。でも、嫌な感じが拭えない。
「……ュシアナ様。リュシアナ様!」
「っ! カイル?」
突然、目の前に大きな手が現れた。驚いて振り向くと、どこか焦ったような顔の中に不安を滲ませた、カイルの顔があった。
「申し訳ありません、大声を出して。けれどテーブルに頭をぶつけそうだったので……」
「えっ、あ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたものだから、気がつかなかったわ。ありがとう、カイル」
「考え事、ですか。それならば、よかったです」
言葉ではそう言っているものの、表情に安堵の色が見えない。私はこれ以上、心配をかけまいと、テーブルに敷いていたネイビーの布でタロットカードを包んだ。今日はもう占いをしない、という合図を、カイルだけではなく、ミサにも送った。



