転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「では、次に未来を。ソードの八の逆位置ですね」

 逆位置を採用しているとはいえ、多いなと感じながらも、私は言葉を続けた。

「このカードは、ご覧のように人物が束縛されていますが、逆に出ています。そこからの解放や解決に向かっている、とカードは教えてくれているのかもしれません。だからこの結婚がお姉様にとって、良い方向にもたらしてくれる。カードだけでなく、私もそう信じています」

 出たカードは、とても幸福な未来が、といえるものではないけれど、少しでもお姉様の不安が取り除ければ、と思ったのだ。

「だからカードもアドバイスとしてソードのナイトを出してくれたのではないでしょうか。感情ではなく、合理的な判断で未来を切り開いてほしい、と言っているように思えます」
「……合理的な判断」
「はい。それと共に人への思いやりも忘れずに、と出ています。お姉様は、こうして私のところへ足を運ばれるほどの行動力のある方ですから、このカードのように、ノルヴィア帝国でも果敢に進んでいけると思います」
「そうね。ありがとう」

 お姉様の微笑みに、一瞬ドキッとしてしまった。見惚れたわけではない。恐怖を感じたのだ。けれどその意味までは分からなかった。
 私は不気味に思いながらも、五枚目のカードを捲った。