転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「それでは、分かっていただいたところで、占いたいと思います」

 私は心を落ち着かせて、いつものようにシャッフルをし、カードに念じた。

『お姉様がノルヴィア帝国に嫁ぎ、幸福な未来を得ることができますか?』

 いつもなら声に出していた質問。けれどお姉様にとっては、嫌味に聞こえてしまうかもしれない。結婚して幸せになれますか? なんて、普通ならいい質問だ。相手の幸せを願うものだから。

 それが他人であったのなら、お姉様も受け入れられるだろう。けれど亡き王妃の存在と生き写しのリュシアナ。この二人によって、お姉様は常に陰日向となっていたのだ。

 命を狙うほど、恨まれていても仕方がない。私は目を閉じ、祈るようにカードを抱きしめてから、テーブルに並べた。

「今回はとても大事な占いなので、ヘキサグラムスプレットを使います」
「ヘキサ? 聞いたことがないわね」
「形としては二つの三角形を組み合わせる方法で、正三角形に置いたカードには、それぞれ過去・現在・未来を読み解きます。逆三角形は相手やお姉様の気持ちなど多方面から読み解き、最後、中心に置いたカードで結果、またはアドバイスをカードが教えてくれる。そんな占い方です」
「……カードだけで、そんなに分かるものなの?」

 一瞬、同じことをカイルにも指摘されたことを思い出した。やはりこの世界では、珍しく思えるらしい。お父様へと視線を向けると、同じように首を傾げていた。