転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

 思わずカードに向かって「ありがとう」と呟いた。そしてペンタクルのナイトを真ん中に置き、タリアを見据える。

「これで占いは終わりだけど、どうだった?」
「とても参考になりました」
「この縁談が素敵な未来になるように、祈っているわ」

 私は安心させるように微笑むと、タリアは両手を合わせて、何度も何度も「ありがとうございます」といいながら、席を立つ。部屋から出て行く時も、ずっと頭を下げるタリアの姿に、逆に私の方が恐縮してしまった。

「お見事です」

 それを共に見ていたカイルが、後ろから声をかけてくれた。

「ありがとう。でも、思ったより疲れたわ」
「相談の内容を掘り下げるのが原因かと」
「分かっているわ。だけど、相手は本気で悩んで、相談に来てくれているのよ。私も生半可な態度で占いたくないの。同じ熱量で答えてあげたい」

 今の私が何不自由なく生活できるのは、王宮で働いてくれている人たちのお陰なんだから。

「勿論、カイルも何か相談したいことがあれば、聞くからね」
「っ! あ、ありがとうございます」

 声は戸惑っているものの、注がれる視線に既視感を覚えた。そう、この熱い視線……最近、どこかで見たような気がしたのだ。

 あっ、中庭だ。まさか、相談ってそっちのこと? ちょうど恋愛の占いだったから、また影響を受けたのね。もう、いいんだか、悪いんだか。