転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「実は私、実家から縁談のお話が来ていて、迷っております」

 タリアは目線を下に向けながら、ゆっくりと話してくれた。訴えかけるわけではなく、私が聞き取り易い方法で。このたった一言でも、タリアという女性の思いやりが伝わってくるようだった。

「実家、というとハーリント伯爵家から、よね。今、王宮ではお姉様の結婚に影響を受けている者たちが多いと聞くわ。ハーリント伯爵家も、その波に乗ろうとしているのではなくて?」
「えっと、その……おそらくはそうだと思います。私がこの王宮で結婚相手を見つけられていれば、このような事態にはならなかったのですが」
「どういうこと?」
「元々、私は王宮勤めをできるほど、しっかりした者でもなく、要領がいい方でもありません。だけど両親は、そんな私に箔をつけるために、無理やり話をつけてこちらへ勤めることになったのです」

 なんだか、親近感を湧くわね。私も王女という器ではないのに、転生した先の体がそうだった。さらに記憶喪失とか、お姉様との確執。お父様とお兄様に至っては、溺愛というより、今のところは過保護とか心配性、の方が合っている。

 望まない場所で、望まない役割を押しつけられ、今度は望まない結婚、か。ん? 確かタリアは迷っている、と言っていたわよね。