転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「あっ、もしかしてご存知ありませんでしたか?」
「ミサは私の記憶が戻った、と思っているみたいだけど、実際は違うから。二人の身分を知らないの。勿論、近衛騎士団長のもね」
「そうでしたか……」
「ごめんなさい。カイルも、なんだか期待していたみたいだったけど」
「いいえ。今のリュシアナ様も、以前と変わらぬ魅力がありますから」
「そ、そう? ありがとう」

 じゃなくて、何? 私、口説かれているの? それはそれで、嬉しいんだけど……いやいやそうじゃなくて!!

「ミサと近衛騎士団長って、そんなに身分差があるの?」
「……二人は同じ上級貴族ですから、本来身分差はありません。ミサ殿は伯爵令嬢ですし、近衛騎士団長は侯爵ですから」
「でも、カイルは身分がって言っていなかった?」
「はい。ミサ殿は幼い頃から王宮勤めをしているため、伯爵令嬢であっても、陛下やユーリウス殿下の信頼が篤いんです。だから近衛騎士団長も、惹かれたのかと」

 なるほど。リュシアナの侍女になれたのは、そういう経緯があったからなのね。もしかしたら、小さい頃からリュシアナの面倒を見てきたのかもしれない。
 私にとってもミサは、姉のような存在だから、リュシアナもきっと。