目が覚めたら、見慣れた木目調の天井はなく、美術館などで見たような絵画が、目に飛び込んできた。視界の隅には二本の柱。まだ体が怠く感じるけれど、起き上がりたい衝動に駆られた。

 すると、扉が開く音と共に、小走りになる足音がこちらに向かってくるのを感じた。だけど頭も体も、すぐに反応できなかった。

「姫様っ!」

 ひ、め? 誰が?

 茶色い髪の女性が、私を見ながら黄緑色の瞳を潤ませている。辺りを見渡しても、ここにいるのは私だけ。しかも芯のある反発力と肌触りのいい、この感触。

 まさかベッド? じゃあ、この柱ってベッドの一部なの?

 よく見ると、周りのカーテンは窓ではなくベッドについているものだった。