同期と私の、あと一歩の恋

企画書のアンケート準備まで終え、今日の仕事を切り上げた。

今は、企画部と営業部の合同懇親会のために大衆居酒屋にいる。
営業部の人とは打ち合わせや懇親会などで何度も顔を合わせるうちに、何人か親しくなった人もいる。

いつも利用している居酒屋で、事前に予約して奥の座敷を貸し切った。
座敷は広々とした空間が広がり、足元が掘りごたつになっているテーブルが六つ並んでいる。
参加者たちは、各々が好きな場所に座って和気あいあいと談笑していた。

あらかじめ、料理を早く提供してとお願いしていたお陰で、着席するとすぐにコース料理が次々と運ばれてきた。
大皿に盛られた唐揚げや刺身、焼き鳥などもテーブルに並べられ、食欲をそそる香りが広がっていく。

隣に座っていた本田くんが、無言で焼き鳥が数本乗ったお皿を差し出してきた。

「広瀬、酒飲む前に何か腹に入れた方がいいからこれ食べろ」
「ありがとう」
「どういたしまして」

お皿の中からモモを一本取りながらお礼を言った。

以前、本田くんと飲んだ時にすきっ腹でお酒を飲んで、酷く酔っ払って迷惑をかけたことがある。
それ以来、何かと気にかけてくれるようになった。

そもそも、彼と一緒に飲む機会は少なくない。
同期会やお互いの企画が通った時など、何かとよく飲みに行っていた。