同期と私の、あと一歩の恋

本田くんの背中を追いかけながら、あることを思い出した。
 
「そういえば、来月の新商品のプレゼンは絶対に負けないからね」

自分なりに会心の出来だと思っていたんだけど、前回は本田くんの案が採用されて、正直すごく悔しかった。

彼は振り返って、自信たっぷりに口を開く。
 
「望むところ。俺だって負けるつもりはないよ。そうそう、次も負けた方が飯を奢りな」
「次こそ絶対に奢らせてやるんだから!」

私は負けたくないという気持ちを込めて言い返した。
さっきまでの甘い雰囲気は一転し、同期としてのライバル関係が顔を出す。
このバチバチとした感じも悪くない。

「あ、あと三分で朝礼が始まる。紗世、急ぐぞ」 

腕時計を確認して私を急かす本田くん。
ねぇ、今さりげなく私の名前を呼び捨てにした? 
不意打ちに胸がドキッと高鳴った。
 
「待ってよ」 

私は再び、顔を赤くしながら本田くんの背中を追いかけて、隣に並ぶ。

これからもお互いにいい刺激を与えあい、ともに高め合っていけるような関係でいたい。
同期として、恋人として、この先もずっと彼の隣を歩いていこうと心の中で誓った。



End.