同期と私の、あと一歩の恋

嘘、じゃないよね?
本田くんの目が真っ直ぐに私を捉え、心臓が早鐘を打つ。

「初めて一緒に仕事をしたときから、いつも一生懸命に仕事に取り組んでいる広瀬を見ていた」
「えっ」
「二年前、俺が初めて大きな企画を任された時に、メンタルもやられてボロボロだったの覚えてる?」

その言葉に当時のことを思い出す。
確かに覚えている。
他部署との連携も上手くいっていなくて、連日残業続きだった。
そのせいで顔色も悪く、体調もあまりよくないように見えてすごく心配だったから、私が手伝えることがあればと思って声をかけたんだ。

「あの時さ、広瀬も企画のアイデア出しとかあったのに俺に手伝うよって言ってフォローしてくれたよな。正直、いっぱいいっぱいになっていたから、広瀬の優しさが嬉しかった。一緒に頑張ろうって言って励ましてくれた時の、広瀬の笑顔に救われたんだ」

まさか、そんな風に思ってくれていたなんて……。
胸がいっぱいになる。

「自分が大変な時でも他人を気遣える広瀬の優しさに惹かれていたけど、俺は広瀬に好意があることを隠してた」

その言葉にドキッとした。

「広瀬はあまり自分から恋愛の話とかしなかっただろ。前に先輩に恋愛系の話を聞かれた時に困ったような表情をしてたから、何か理由があるんだと思って、気持ちを伝えるのを躊躇していたんだ」

本田くんが恋愛の話をしなかったのは、私の様子を見て察してくれた、彼なりの気遣いだったんだ。