同期と私の、あと一歩の恋

「お疲れ様。本田くんも休憩？」
「ああ。まあ……。さっき、生産部の風間さんとすれ違ったけど一緒に居たのか？」
「うん。偶然会って話してたの」
「へぇ、どんな？」

本田くんが少しの興味を示し、何かを探るように聞いてきた。

「最初は仕事の話をしてたんだけど、今度みんなで飲みに行こうって話になったよ」
「みんなで？」

意外そうに聞き返してくる。

「そう。本田くんも一緒に行く？」
「ああ、考えておく」

そう言った後、少しの沈黙が流れ、本田くんは再び口を開いた。

「広瀬ってさ、風間さんと飲みを誘われるぐらい仲が良かったっけ？」
「特別仲がいいってわけじゃないけど、『触って楽しい動物園』の件ですごくお世話になったの。それに、飲みに行こうって話も、また合同懇親会でもしようと思って誘ってくれたんじゃないのかな？」

私の言葉に「ふーん、そうか」と彼はそっけなく答えた。

どうしたんだろうと思っていたら、本田くんは「戻るか」と問いかけてきた。
その一言に私は頷き、二人並んで休憩スペースを後にした。