同期と私の、あと一歩の恋


「たとえミスっても、伝えたいことが相手に伝わるのが一番だと思うけど」

それを聞いて胸につかえていたものが、ストンと落ちた気がした。

いつもプレゼンのたびに、完璧にしないといけないと自分を追い詰めていたことに気づく。
だから、余計に緊張していたのかもしれない。

「次からはそうしてみる。本田くん、ありがとう」

素直に感謝を伝えると、彼は優しく微笑んだ。
とっさ出た話題だったけど、私の中でずっと引っかかっているところでもあった。
本田くんの的確なアドバイスのおかげで、またひとつ成長できた気がする。

居酒屋を出るとアルコールで火照った頬を夜風が撫でる。
駅までの道のり、他愛のない話をしながら歩く。
しっかり食べて笑い、すごく楽しい時間を過ごすことができた。
気づけばもう、駅の入り口が目の前だった。

「今日は誘ってくれてありがとね」
「どういたしまして。こっちこそ、楽しかったよ」
「じゃあ、また会社で」

いつものように手を振ると、本田くんも軽く手をあげる。

「ああ。気をつけて帰れよ」

小さく頷き、私はゆっくりと背を向け、改札を抜けた。
階段を下りてホームに立つと、滑り込んできた電車の風がふわりと髪を揺らす。

告白のタイミングって本当に難しい。
あと少しの勇気があれば――。

私は小さく息を吐き、電車に乗り込んだ。