同期と私の、あと一歩の恋

「本田くんはいつも堂々としてるよね」

彼のプレゼンの時の姿を思い出す。
立ち振る舞いもだし、質疑応答もいつも完璧にこなしていて、本当に尊敬できる人だ。

「まあ、俺も裏では必死だよ。いろんなパターンを想定しながら、家で練習しているから」

照れくさそうに頬をかく。

「すごいなぁ。私もやってるんだけど、なかなか上手くいかなくて」
「俺は、広瀬もすごいと思うよ。企画書は分かりやすいし、目の付け所が違うっていうか、いつも感心してる。だからさ、完璧を目指さなくてもいいんじゃないか?」
「えっ、」

本田くんの言葉に目を見開く。

「たとえミスっても、伝えたいことが相手に伝わるのが一番だと思うけど」

それを聞き、胸に使えていたものが、ストンと落ちた気がした。

いつもプレゼンするときは、"完璧にしないといけない"と自分を追い詰めていたことに気づく。
だから、余計に緊張していたのかもしれない。

「うん、そうしてみる。本田くん、ありがとう」

素直に感謝を伝えると、彼は優しく微笑んだ。

とっさ出た話題だったけど、私の中でずっと引っかかっているところでもあった。
本田くんの的確なアドバイスのお陰で、またひとつ成長できた気がする。