さっきの本田くんの言葉を聞いた後に告白するから「何勘違いしてるんだ?」と思われるかもしれないという不安がある。
だけど、二週間前に一歩踏み出す決意をしたんだから、気持ちを伝えるタイミングは今しかない。
とは意気込んだものの、中学の時から十年以上、恋愛から遠ざかっている拗らせ女子の私は緊張で落ち着かない。
目の前のビールを飲み干して「よし」と気合を入れた。
「あの、さ」
「お待たせしました。揚げ出し餅です」
言いかけた時、店員が料理を運んできて私は口を閉ざした。
せっかく振り絞った勇気がしぼんでいく。
完全にタイミングを逃してしまい、今日はもう駄目だと諦める。
「今、何か言いかけなかった?」
本田くんが首を傾げながら聞いてきた。
こんな状況で、もう一度仕切り直して気持ちを伝えることは私には出来ない。
また、次のタイミングがあればその時にするしかないなと考える。
私は慌てて、違う話を切り出した。
「え、いや、何度経験してもプレゼンは緊張するなと思って。声は震えるし、途中で何を話してるのか分からなくなる時があるし」
とっさに出てきたのは無難な仕事での悩みの話だった。
こういうところが、いかにも自分らしいなと思う。
「確かにな。でも、こればっかりは数をこなすしかないからな。場数を踏むうちに、自然と慣れてくるよ」
誠実な本田くんらしい答えだった。
だけど、二週間前に一歩踏み出す決意をしたんだから、気持ちを伝えるタイミングは今しかない。
とは意気込んだものの、中学の時から十年以上、恋愛から遠ざかっている拗らせ女子の私は緊張で落ち着かない。
目の前のビールを飲み干して「よし」と気合を入れた。
「あの、さ」
「お待たせしました。揚げ出し餅です」
言いかけた時、店員が料理を運んできて私は口を閉ざした。
せっかく振り絞った勇気がしぼんでいく。
完全にタイミングを逃してしまい、今日はもう駄目だと諦める。
「今、何か言いかけなかった?」
本田くんが首を傾げながら聞いてきた。
こんな状況で、もう一度仕切り直して気持ちを伝えることは私には出来ない。
また、次のタイミングがあればその時にするしかないなと考える。
私は慌てて、違う話を切り出した。
「え、いや、何度経験してもプレゼンは緊張するなと思って。声は震えるし、途中で何を話してるのか分からなくなる時があるし」
とっさに出てきたのは無難な仕事での悩みの話だった。
こういうところが、いかにも自分らしいなと思う。
「確かにな。でも、こればっかりは数をこなすしかないからな。場数を踏むうちに、自然と慣れてくるよ」
誠実な本田くんらしい答えだった。



