きっと本田くんに負担をかけて困らせてしまうかもしれないし、今の関係が間違いなく変わってしまうだろう。
それでも、気持ちを伝えたいと思ったんだ。
振られても、彼に気を遣わせないように振る舞う努力を、私がすればいい。
それがこの気持ちを伝えることへの責任だし、本田くんへの精一杯の誠意だから――。
さっきの本田くんの言葉を聞いた後に告白するから「なに勘違いしてるんだ?」と思われるかもしれないという不安はある。
だけど、一歩踏み出す決意をしたんだから、気持ちを伝えるタイミングは今しかない。
意気込んでみたものの、中学の時から十年以上、恋愛から遠ざかっている拗らせ女子の私は緊張で落ち着かない。
目の前のビールを飲み干して「よし」と気合を入れた。
「あの、さ」
「お待たせしました。揚げ出し餅です」
言いかけた瞬間、店員が料理を運んできて私は慌てて口を閉ざす。
せっかく振り絞った勇気がしぼんでいく。
完全にタイミングを逃してしまい、今日はもう駄目だと諦める。
「今、なんか言いかけなかった?」
本田くんが首を傾げながら聞いてきた。
こんな状況で、もう一度仕切り直して気持ちを伝える勇気は私には残っていない。
また、次のタイミングがあればその時にするしかないなと考える。
私は首を横に振り、違う話を切り出した。



