同期と私の、あと一歩の恋


会議室を出て、企画部の自席に戻るとデスクに突っ伏した。
どうにか終わってよかったと、心の中で安堵する。

プレゼンでは、いつも似たような質問が来るので前もって回答を用意していた。
そのお陰で、多少のミスはあったものの、無事に言いたいことはすべて伝えられたと思う。

本田くんにプレゼンが終わったと報告をしようと思っていたが、彼は席を外していた。

ふと、さっきの出来事を思い出す。
会議が終わった帰り際、営業部長から『ガチャ活とかハッシュタグの着眼点はすごくよかった』と声をかけられたんだ。
営業部長が話しかけてくれたことにも驚いたけど、まさかあんな風に褒められるとは思わず、嬉しさがこみ上げる。

「お疲れ、どうだった?」

不意に声をかけられて顔を上げると、本田くんが笑顔を向けてきた。

「うーん、どうだろう。営業部長には少しはいい評価をもらえたと思うし、自分の意見は全部伝えたつもり。あとはどう判断されるか結果を待つしかないわ」
「そっか。とりあえずお疲れさんてことで、今日飲みに行かない?」
「いいね!あの懇親会からずっと禁酒してプレゼンに取り組んでいたから、ちょうど飲みたい気分だったの」
「オッケー!じゃあ、適当に店を探して予約しとくわ」
「ありがとう」

プレゼンの緊張から解放され、本田くんとの飲み会という楽しい時間が待っていると思うと、心が浮き立った。