会議室には張り詰めた空気が漂い、独特の緊張感に包まれたいた。

芹沢部長を始め営業部、生産部など様々な部署の面々が集まっていて、コの字型に並べられたテーブルに着席している。
中央にあるスクリーンはまだ何も映っていない。

今回、私がトップバッターだ。
プロジェクターとノートパソコンの電源が付いているのを確認する。
そして、用意していた企画書をテーブルに置いた。
家で何度も練習をしたので大丈夫なはずだと言い聞かせる。

小さく深呼吸し、心を落ち着かせてから真っ白なスクリーンに資料を映し出した。

私は「商品企画部の広瀬です」と名乗り、スクリーンに映し出された資料を指し示しながら説明を始める。

「既存のアニマルキーホルダーの新バージョンとして、スクィーズ素材を使ったキーホルダーを提案します」

会議室に集まっている人たちがスクリーンを見たり、手元の資料に目を通している。
私は彼らの反応を窺いながら、説明を続けた。

「近年、スクィーズは子供だけでなく大人の女性の間でも人気が広がっています。その心地よい弾力と、指が吸い付くような独特のぷにぷにとした触感は触るだけで心が癒され、日々のストレスを解消してくれると幅広い層から支持を集めています。我が社でもスクィーズのぬいぐるみの売上は好調です」

リモコンを操作し、次のスライドに切り替えた。
そこには、売上データのグラフと、ユーザーの生の声が分かりやすくまとめられているのが映し出されている。