同期と私の、あと一歩の恋

酔っていて冷静な判断が出来なかった、とか?
私と本田くんが両想いって、そんなことあるわけがない。
もしかして、はたから見たらそんな感じなんだろうか。
頭を抱えていたら、吉瀬さんが戻ってきた。

「すみません。森藤さん、ちょっと酔っていて。彼女、思い込みが激しいところがあるんです。前々から広瀬さんと本田さんが仲良く話しているのを見ていて、二人が付き合っているって勘違いしたみたいです。だけど、周りの人に否定されて、広瀬さん本人にも同期だって言われたけど、どうも納得できなくて酔った勢いで言ってしまったと……」

森藤さんの話を聞いてきた吉瀬さんが申し訳なさそうに話す。

「そうだったのね」
「次からは絡まないように言ったので」
「大丈夫だよ。気を遣ってくれてありがとう」

私が笑顔で言えば、吉瀬さんは安堵したように微笑んだ。

なるほど、そういう事情だったのかと納得する。

吉瀬さんのフォローに感謝した。
それにしても、この話をした時に私たち三人しかいなかったのは不幸中の幸いだ。
もし、他の誰かに聞かれていたらと思うとゾッとした。

ふと、冷静になって考えてみたら彼女の言っていることは正論だなと思う。

『言わないで後悔するより、言っちゃった方がスッキリしますよ』という森藤さんの言葉が、私の胸に重くのしかかる。
頭では理解しているけど、勇気が出ない自分がもどかしい。