同期と私の、あと一歩の恋


いつもさり気ない気遣いができて、スパダリか!と心の中で突っ込みながらも、胸はチクリと痛む。
好きな人がいる本田くんに片想いしている私としては、彼の優しさは嬉しいけど苦しくもあった。

いつものように本田くんと他愛のない話で盛り上がる。
高校の部活の話になって、私が茶道部だったと言うと、彼は驚いた顔をした。

「え、広瀬って茶道部だったのか?」
「そうだけど。私に合ってるでしょ」
「いや、うーん、合っている……のか?」

本田くんは微妙な表情で腕組みをし、首をひねる。
何その反応。
ちょっとイラっとするのはなぜだろう。

「何が言いたいの?」
「いや、なんかこう違う感じがして……。どうせ、広瀬のことだからまんじゅうとか食べれるから入ったんじゃないのかと思って」

本田くんの言葉が図星過ぎて、思わず眉間にシワを寄せた。

「最悪なんだけど」
「えっ?」
「その通りだよ!いろんな種類のお饅頭が食べれたり抹茶が飲めるって聞いたから入ったの」
「あはは、やっぱり。単純すぎるし、食い意地張りすぎだろ」

半ばやけっぱちのように本当のことを言うと、本田くんはゲラゲラと笑い出した。

「食い意地張ってるとか失礼にもほどがある!でも、それだけじゃないからね。ちゃんと茶道具買って家でもお茶点てたりしてたんだから」

お饅頭につられたのは、否定しないけど。