気まぐれヒーロー




「ハイジのバカ!うそつき!!何がジローさんは女嫌いよ、エロエロ大王じゃんか!!バカぁ!!」




不意にぽろぽろと涙が流れてきて、私はハイジの胸をぽかぽか叩いてた。


安心した途端に緊張の糸が切れて、涙腺も緩んでしまったらしい。



「だからごめんって言ってんだろ、泣くなよ。ももちゃんらしくねーじゃん、急に女らしくなっちゃって。俺もまさかジローちゃんが、ここまで攻めてくとは思ってなかったからよ」



楽しそうに笑いながら、ハイジは頭をナデナデしてきた。それから首輪を外してくれた。



何なのよ、私を何だと思ってんのよ!!ひどすぎる!!



どうせハイジにとっちゃジローさんが進歩したって喜んでんのかもしれないけど、私はほんとにほんとに怖かったんだから!!!



「おいおいピーチ姫よォ……マ〇オを差し置いてルイー〇とイチャついてんじゃねえぞ~」



だ、誰と誰がイチャついてるって!?



ピーチ姫って……ピーチ……桃……もも……わ、私!?



マリ〇とル〇ージ……。


ハイジとケイジくんの髪の色を見て、納得してしまった。



彼らはクリスマスだけではなかった。
国民的人気兄弟にまで、なれてしまうのだ。



ただしグレちゃってるけど。




そして、こんなくだらないことを言ってくるのは──




「お前、バージンのわりにはなかなかイイ声出してたじゃねーか。ジローのテクに鳴かされたか」




ひょっこり下から顔を出した、変態キンパツ。


私を見ると、やらしい目でやらしいセリフを吐いて、上に登ってきた。



もともと狭い所なのに、大きな男が四人になって、さらに狭苦しくなってしまった。