「よし、オメーらそろそろ出動だ。行け!ピーチ姫を救出してこい!!」
えっちになっちゃったジローさんを前に泣きそうになっていたら、突然意味不明なかけ声が下の方から響いてきた。
そして次の瞬間目にした光景に、我が目を疑った。
緑と赤が、どこからともなく飛び出てきたのだ。
それはもう見事なくらい、ばいーんと。下から、飛んできた。
そのまま彼らはケダモノジローさんに、飛びかかった。
そっからはもう、全てが私の目にはスロー再生されていた。
緑と赤コンビに上からのし掛かられて、コンクリートの床にべちゃっと這いつくばったジローさん。
たぶん、顔面を強打したんじゃないだろうか。
「ハイジ、縄や!早く!!」
「おう、きつくしとくぞ。この人暴れ出したら手つけられねーからな」
刑事ドラマみたいに取り押さえられたジローさんの体を、ハイジとケイジくんがどこからか持ってきた縄でぐるぐると縛って拘束した。
素晴らしいコンビネーションだった。
流れるような作業で、あっという間にジローさんはお縄になったのだ。
双子って、すごい。
体を起こされたジローさんの額から、ドクドクと血が流れていた。
「……ハイジ、ケイジ。こりゃどういうことだ」
お縄になってあぐらをかいている、ジローさん。
おでこからの出血が、顔面を赤く染めている。
なんとも情けない格好であってもキングは威厳を損なわず、震え上がりそうな低い声で双子に問いかけた。
この状態でも、やはり彼はキングだった。
その眼光だけで、彼の前にひれ伏してしまいそうになる。

