気まぐれヒーロー



ほっとしたのも、つかの間。

ジローさんの勢いは衰えなかった。彼はそんなことで引き下がる男ではなかったのだ。



もしかすると、キスすることが目的じゃなかったのかもしれない。



顔を横に向けてしまった、私。


ジローさんは私の髪を梳くようにして、耳にかけてきた。

そうすると、彼の目の前には私の耳が露出されてしまったわけで。


なんとこのスケベな不良キングは……私の耳に、微かな息を吹きかけてきたのだ。




「うひぁ!?」



こそばゆくって、変な悲鳴があがってしまう。
びくんって体がちょっと跳ねて、全身が力んだ。



さらには──




耳たぶに、舌を這わせてきた。




「ちょ、やめ……あっ、」

「耳がいいのかよ」




んなこと言ってない!!しかも耳元で喋らないで……!!


な、何なの!?この人本性は、すっごいえっちなんじゃないの!?


こないだキングダムで見せた姿は、何だったの……!!


生温かく柔らかい舌で舐められるたびに、背筋がゾクゾクする。

経験のない変な気分に侵されそうな自分が嫌で、先輩の胸を押し返しても、ちっとも退いてはくれなかった。