気まぐれヒーロー




従うべきだ。


結論を出すのに、一秒とかからなかった。



というか、首輪してる時点でもう人間捨てちゃってんじゃんよ。



決心して、私はジローさんの手の平にちょこんと、丸めた自分の手を置いた。


なんだか気恥ずかしくて俯きつつも、そーっと彼に視線だけを上げた。


ジローさんの目からはさっきまでの刺々しさがなくなっていて、優しく細められていた。



「いいコ」



囁くように、紡がれた言葉。


そしてジローさんは私が置いた手を包み込むように握って、もう片方の手で私の頭を犬にそうするように撫でてくれた。




……ああ……何なのコレ……



胸全体にじんわりと広がっていく、この満ち足りた感覚は何!?


なんか、幸せだ。

すんごく幸せな気持ちだ!!


こういう感じなの!?人間に飼われてるワンちゃんって、いつもこういう気持ちでパタパタしっぽを振っているのかしら!!


私にしっぽがあったら、それはもう途轍もない速さでブンブン振りまくっちゃうよ……!!





犬って……いいかもしんない。