そよ風が、目にかかりそうなジローさんの前髪を揺らしている。
彼の色素の薄い茶色の瞳は、空を一心に見つめていた。
「ここ、よく来るんですか?」
私も爽快な空を見上げながら、控えめに尋ねてみた。
「時々な。ここが一番、空が近えから」
ジローさんの落ち着いた声が、胸に染みこむ。
そうだな、と思った。
周りに邪魔な建物がないから、視界いっぱいに広がる青空。
どこまでも、続いていく。
だから……ハイジも、ここにいたんだろうか。
あの時、こうやって空を眺めていたんだろうか。
っていうか……どんな思いで私の一世一代の告白をヤツは聞いていたんだろう。
私もぼんやりしていると、隣でジローさんがのそっと上半身を起こした。
こっちに顔を向ける彼の表情は、やっぱり何の感情も見えない。
何だろう……私変なこと言った!?
ドキドキしていると、微かにジローさんの口が開いた。
私はその口からどんなセリフが出てくるのかと、息が詰まりそうな思いで待った。


