適当に首輪を一個取ると、頭の上で手で挟み、
「とおっ!!ウルトラカッター!!」
教室の壁に投げてみた。
ひょろひょろ飛んでいった首輪は、ぽすんと情けない音を立てて床に落ちた。
場の空気が、凍りついた。
もちろん誰かの笑い声なんてあるわけない。
それどころか、近所の飼い犬の鳴き声すら聞こえてくる始末。
やってしまった。
全身から、一気に血の気がひいた。
ヤンキーのみなさんは白々しく窓辺に一列に並び、空を見上げながら星座の話をしていた。真っ昼間なのに。
冷や汗が流れる。
ちらっと黒羽先輩を覗き見ると、目を逸らされ彼はスマホをいじり始めた。
ごくりと唾を飲み込み、オイルの切れたロボットみたいにギギギと白鷹先輩に顔を動かした。
「早く選んでくんねえ?」
そこには鬼がいた。銀髪の鬼が。
私の予想は大いに外れた。これはモノボケなんかじゃなかった。
この人はマジだったのだ。本気と書いて、マジだ。
危うく気絶するとこだった。
彼はぴくりとも笑わず、冷めきった目をしていた。
私は泣く泣く、ピンク地にハートのチャームが付けられた可愛らしい首輪を選んで、鬼と化したジローさんに差し出した。
これなら誰かに見られたとしても、チョーカーって言い訳ができそうな気がする。うん。ギリだけど。


