「俺、雲雀 克也っていうからさ。覚えといてよ」
そう言って、ハニかむ彼。
克也……かっちゃんだな。
かっちゃんはヤンキーというよりも、普通の今時のオシャレさんという雰囲気だ。
サッカー部にいそうな、学年のアイドルっぽい感じの。
将来美容師になるとか言われたって、全然違和感ない。だって童顔で可愛いし。
なぜ彼が白鷹ファミリーに仲間入りしちゃったのか、不思議なくらいだった。
「あ、うん。私は……もう知ってる、よね」
「そりゃね、白鷹さんのペットだしね。俺らの間じゃすっかり有名だよ、ももちゃん……じゃなくてタマちゃんだっけ?」
「……ももです」
「そっか」
オシャレヤンキーかっちゃんは可笑しそうに、くしゃっと顔を崩した。
……私、そういう認識なんだ。白鷹ファミリーの中では、『白鷹さんのペット』として記憶されているのね……。
「あれからずっと白鷹さん、ももちゃんのことばっか聞いてくんだよ。タマはどこだ、タマは何組だ、なんで俺のとこに来ないんだ、エサは何味が好きなんだとかさ」
いや、エサって……聞いてどうすんですかジローさん……。
「やっぱビーフ味かな~でもササミも捨てがたいな~」とか答えればいいんですか……。
「でもほら、ハイジくんがお前を連れてくのにちょっと学校を騒がせただろ?で、そのほとぼりが冷めるまで待ってたんだけどさ、ついに白鷹さんも限界来たみたいで。『タマのクラスまで行く』とか言い出したからさ。それはマズイってなって、ハイジくんがお前を呼んだんだ」
「……そう。だからしばらく音沙汰なかったんだね……」
「ごめんな、嫌だとは思うけどさ……俺らのために一肌脱いで、ももちゃん!」
もうすぐあのキングダムに着こうという時、かっちゃんはパンと手を合わせると、本当に申し訳なさそうに眉を八の字にして、頭を下げてきた。


