げっ!っていう顔をした私に、白鷹先輩はほんのちょっとだけ目を見開いた。それは私しか気づかないくらいの、些細な変化だった。
いかん。かなりマズイ。
もしも今、白鷹先輩が「タマ」なんて私に向かって声をかけたら……全校生徒からボッコボコの袋叩き……!!
めちゃくちゃ動転してた私は、何を思ったか両手をほっぺたにあてて顔を横にびよーんと伸ばしてみた。
周囲では女子の興奮が頂点に達したのか、鼓膜が破れそうなほどに甲高い悲鳴じみた声が渦巻いている。
「なぁジロー……カワイコちゃん達に混じって、ヒキガエルが一匹見えんのは俺の気のせいか?」
下から私の教室を見上げていた黒羽先輩が、白鷹先輩に話しかける。
ふっ……ヒキガエルときたか。またまた新たな角度から攻めてくるじゃないの。
毎回違う生き物に例えられる私って、ある意味ギネス記録ものじゃないか。
「どこ、ヒキガエル」
「あっこだよ、見てみろアレ」
ニヤニヤしながら私を指差す、黒羽先輩。
超恥ずかしいんですけど……!!
何が悲しくてこんなイケメンズに、変顔を晒さないといけないんだろう私……。
「アレ、タマだろ」
うわぁ~言っちゃった~言っちゃったよジローさ~ん。しかもバレちゃってるよ~。
少しも表情を変えずに、白鷹先輩は私から視線を逸らさない。
「タマ!!」
あーあー呼んじゃったよ!!大声で!!
なんだそりゃ!何のためにヒキガエルになったんだ私は!!かかなくてもいい恥かいちゃったじゃないか!!
自分でもビックリするくらいの速さで、私は窓から身を引っ込めた。
「も、ももちゃん?」
さっきから挙動不審な私に、小春が怪しむような視線を送ってくる。
だけどそれに答えられるほど、私には余裕がなかった。


