「お兄ちゃん、いってきます」
日差しの眩しい、朝。
私は仏壇の前で手を合わせると、お兄ちゃんの遺影に微笑みかける。
それが毎朝の習慣だった。
小さい頃は大人だと思っていた、お兄ちゃん。
そのお兄ちゃんが亡くなった年齢に、私も段々と近づいていっている。
あと二年もすれば、追いついてしまう。
でも、やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだと思う。たとえ年齢を追い越したって、それは変わらない。
響兄ちゃんは私の心の中で、その輝きを永遠に失わない。
カッコよくて、いつだって前を向いて堂々としていた。
密かに私の、憧れだった。
「ももー、何してんのー?お友達来てるわよ?」
キッチンから私を呼ぶお母さんの声に、鞄を持って急いで玄関に向かった。
「友達って……?」
誰だろう。私の家までわざわざ来てくれるなんて。
「いってきまーす」
とりあえずお母さんにそれだけ言って靴を履くと、勢いよくドアを開けた。
太陽の光にほんの少し目を細めて、私は玄関の門前に立つ人物を確認した。


