気まぐれヒーロー




なんでそこで田川が出てくるんだ。

あいつはもう関係ないでしょ!!
もう終わったことだし、思い出したくもない。

どうしようもなくムカついて、反論しようと口を開いた──その時だった。


「ね、ねぇみんなもうやめてよ!!」


周りの冷やかしを遮った、か細い女の子の声。

ざわついていた教室が一瞬で静まり返り、視線が一斉にその声の主へ集まる。


「あ、……ももちゃん、困ってるじゃん……可哀相だよ。これじゃあまるで……イジメみたいだよ……」


注目されて身体を縮こまらせながらも、必死にクラスへ訴えるのは──小春だった。

ちょうどそのとき、休み時間の終わりを告げるチャイムが校舎に響き渡り、
それ以上、誰も何も言ってこなくなった。

小春は、人前に立つのがすごく苦手な子。
大声を出すのも、誰かに反論するのも苦手。
私はそれをよく知っている。

だから小春のこの行動が、どれだけ勇気のいることだったかなんて……考えなくたってわかった。


胸がいっぱいになって、泣きそうになった。


「ありがと小春。嬉しかった」

「ももちゃん……えへへ」


私も小春も、気づけば涙ぐんでいた。