「うっそだぁ~、だってさぁハイジくん思いっきり『花鳥もも』って言ってたじゃん!!」
ぐあっ!そうだった!!ウカツだった!!!
私の名前をヤツは、叫んでたんだった!!
「もうねぇ一年の間じゃ、もものことで話題持ちきりだよぉ?なんたって、あのハイジくんが追いかけるほどなんだからぁ。愛の逃避行?」
「はぁ!?」
あ、愛の逃避行!?何それ!?
あの、メロンソーダみたいな色の髪の男と!?んなわけあるか!!
何を言い出すんだこの女は!
いちいち語尾を伸ばすのも、なにげに上目遣いでアヒル口なのも腹が立つ!そのテッカテカの唇もくるんくるんの髪も、何もかも!!
そしてクラス全員の興味津々な視線が私に突き刺さり、追いつめられる。
畝野朝美VS花鳥もも
きっとみんな、朝美側についてる。
“もっと聞け、もっとやれ”って、心の中で彼女にエールを送ってるに違いない。
こういう時の変な結束力って、何となくわかってしまう。嫌なほどに。
「ねぇねぇどこに連れてかれちゃったのぉ?っていうかさぁ、ケイジくんもいたよね!?まさかもも……白鷹先輩のとこ連れていかれたんじゃないのぉ!?」
ぎゃああああ!!
何なの、なんでこの人こんなに勘が鋭いの!?
「い、行ってない!白鷹先輩なんかと会ってない!私、あいつらと何の関係もないし!!」
「え~ほんとぉ?でもさぁ、白鷹先輩とかがいつも、たまってるって噂されてるとこ……近寄っちゃいけないって言われてる場所にハイジくんとかとももが歩いて行くの、見てた子もいるしさぁ」
……逃れられない。ヘビのようなこのしつこい女の、追求から。
だけど言えるわけない。


