気まぐれヒーロー



まず、深呼吸をした。



目を閉じて深く息を吸い込みゆっくり吐くと、もう一度写真を穴が空きそうなほどに見つめてみた。




……やっぱり、犬だ。



どこかの家の庭で、ちょこんと座っているちっちゃな可愛らしいワンちゃん。



や、やだ~先輩ったら!写真間違っちゃったのね!慌てん坊さんなんだからっ!



「……これ、タマじゃねえの?」

「やんな、タマやんな」



タマ?


ハイジとケイジくんは写真に写っているワンちゃんを見て、顔をしかめた。どうやら彼らは、このワンちゃんを知っているらしかった。


「なぁジローちゃん……もしかして死んだ女ってのは、タマのことか」



やけにハイジの声が落ち着いていた。というよりも、何だか諦めに近かった。ケイジくんは、まだ写真を眺めている。



「おう」



ハイジの問いかけにキング白鷹はしれっと答えた。「何当たり前のこと聞いちゃってんのお前」的な眼差しで。