気まぐれヒーロー



ハイジもケイジくんも衝撃の連続だからか、何か言うのをやめて白鷹先輩の言動を固唾を飲んで見守っている。



「……死んだんだよな、あいつ。病気でな」



え……?



その瞬間、教室には静けさが重くのしかかった。鳥の鳴く声が、やけに大きく聞こえた。


死んだ……亡くなったんだ、先輩の彼女……。


「なん、だよそれ……何も俺ら聞いてねえぞ!?ジローちゃんに女がいたなんてよォ!隠してたのかよずっと!!さんざん心配かけといて……そりゃねえんじゃねーの!?」

「……落ち着けってハイジ。責めたらあかんて。デリケートな問題やったんや……重病やったんやろ、その彼女。ジローちゃんも悩んでたんや」


白鷹先輩に突っかかるハイジを、ケイジくんは真剣な顔で諭していた。

私はどうしたらいいのかわからず、俯いて膝の上で両手を握るしかできなかった。


先輩の目が悲しいから。大切な彼女を亡くして、その人に似ているらしい私を見て……どう思ったんだろう。


最近のことなら、なおさら辛いはずなのに。


会わないほうが、よかったんじゃないのかな……。



「……見るか?そいつの写真」