気まぐれヒーロー



「ジローちゃん……俺そんなの初耳なんだけど。女か!?ジローちゃんに、女がいたのか!?」

「っつーかいつの話や!ジローちゃんに女て……ガキん時の話ちゃうん!?」



頭が真っ白な私の横で、身を乗り出して先輩に詰め寄るハイジ。ケイジくんも、信じられないといった表情だった。



「バカヤロウ、ついこないだだっつーの。マジ可愛かったんだよ……」



ええっ!か、可愛い人だったんだ……。そんな人に私が似てるの!?


絶世の美を手に入れた男にしか、わからない世界というものがあるのかしら……。


ああ、でも私やっと……人間扱いされた……!それもこんなハンサムさんに!


しかも可愛いなんて言われて……(直接言われてないけど)


神様、ありがとう!!生きててよかった!石ころから人間に戻してくれた奇跡に、感謝します……!!



……だけど先輩、なんで過去形なんだろう。寂しそうな瞳は、何かわけがあるの?