気まぐれヒーロー



私もハイジもケイジくんも、教室中にいる白鷹ファミリー全員が、先輩の口から出てくる次の言葉を待ち望んでいた。




“ヤバイ”らしい、白鷹先輩

銀髪で超絶美形な、白鷹先輩

やたらと男女関係に敏感な、白鷹先輩

出血大サービスな、白鷹先輩

不良の頂点に君臨している、白鷹先輩




まだ私はこれぐらいしか、この人を把握していない。


というよりも、ハイジやケイジくんだってそう。彼らのことを、私は何も知らない。


なんだかノリで、こんな流れになっているけれど……ハイジはどうして私を白鷹先輩に会わせたんだろう。


フェロモンも枯れてるし、ムラムラしないし石ころだし……女としてどうなのよ。


そんな干からびた女に会ったって、美男子は喜びはしないだろうに。

でもムラムラしないから適役みたいなこと言ってたな。どういう意味なんだろう。


私……先輩の何に、似てるっていうんだろう。



「すげぇ大切だったやつ」



懐かしそうな目をしてほんの少し哀愁を乗せて、そんなセリフを先輩が口にするから。


本気で胸がドキンって、高鳴った。


先輩の大切な人に私が、似てる……?地味の代表格みたいな私が……?