気まぐれヒーロー



「ハイジくんケイジくん、私も一応女の子なんですけど」



「ちょっとは黙れてめえら」を柔らかく崩して彼らに微笑むと、赤と緑のクリスマスコンビは「何言っちゃってんのこいつ」的な白けた視線を返してきた。


衝動的にテーブルの上にあった灰皿を手に取って振り上げたところで、《女子高生、灰皿で不良男子二人を撲殺》の新聞見出し記事が頭に浮かんだ。

思いとどまって、大人しく灰皿を戻しておいた。


ハイジとケイジくんは、かなり青ざめていた。




「似てんだよ、お前」




ふと、白鷹先輩の唇がぼそっと動いた。


窓の外を眺めながら、何だか物憂げな先輩は本当に綺麗で。


私はその横顔に、魅入ってしまっていた。



似てる……?何に……?


含みを持った言い回しで、先輩は私に視線を向けて小さな笑みを浮かべた。



待って……その笑顔、ダメです先輩!
ど、どうしよう、胸キュンだ……!!

やだ、ドキドキしちゃう!!


相手はヤンキーキングだっていうのに!


何!?
私はあなたの、何に似てるって言うの!?



「俺の……」



や~ん早く言ってええ!!