気まぐれヒーロー




「ごめん、小春……ごめんね……!!」



“信じる”ということは、もの凄くパワーがいること。

彼女はいつも笑顔で、励ましてくれていた。

陽だまりのような温もりで、私を包んでくれていた。


私は小春の愛らしい笑顔が、大好きだった。



「小春は、すっごく頼もしい子だよ。今日の小春は、私のヒーローだったんだから!!私にとって、小春は本当に大事な存在なんだよ」



だから……だから、ね。小春。



「これからも、頼りにさせてね」



改めてこういうこと言うの、恥ずかしいけど。

でも言わなきゃ、伝わらないから。伝えられないから。

恥ずかしいし照れるけど……それより、言いたかったんだ、小春に。

ちゃんと言葉にして、言いたかった。


「うん!」


沈みゆく太陽の光のなかで、彼女は笑った。

その笑顔は、最高に輝いていた。



「ヤバイわぁ、もらい泣きしてまうやん」



何だか少しばかりうさん臭さの交じったその声を聞いて、そういえば赤レンジャーがいたなって思った。

一瞬だけ、彼のことを忘れていた。


ケイジくんを見れば、セリフとは裏腹におすまし顔で。

これも、彼の狙い通りのことだったんだろう。


けどきっとそれは彼なりの優しさで、自分自身をガチガチに固めていた私に、頑固な鎖を解く方法を導いてくれた。


同じ歳なのに、ケイジくんは私なんかよりずっと大人だった。



「おねーさん、名前教えてーや」

「あ……あの、その……卯月小春、です」



ケイジくんの質問に対し、やっぱり小春はビクビクしながらも、ちゃんと答えていた。


「小春ちゃんやな、よっしゃ!覚えた」

「は、はあ……」

「っつーかさあ、小春ちゃん。んなトコ座っとったら汚れんで」


未だに草が目一杯茂っている土の上に座り込んでいる小春に、ケイジくんが不思議そうな顔をする。

実は私もちょっと、疑問ではあったんだけれども。

どうして立たないのかなって、ほんのりと疑問を抱いていたわけなんだけれども。

私とケイジくんにじーっと見下ろされて、小春はほっぺたを桃色に染め、ちっちゃくなっていた。

それからとっても恥じらいながら、口を開いた。



「……立ちたいんだけど、立てないの。腰……抜けちゃって」



「えへへ……」とうるうるおめめで上目遣いな小春ちゃんは、キューティーパワー全開だった。


私はそんなキューティーこはるんのキュンキュン爆弾で、爆死した。


もう、もう!!可愛すぎるんだけど……!!

なんで!?なんで同じ女なのに、こうも違うの!?

いや、“女”にもピンからキリまであるわけで。

私なんかは“女”のカテゴリーでいうと、『イモ』の部類に振り分けられるわけで。

小春は『キューティーハニー』のトップに君臨しているのだ。


くそっ、羨ましすぎる……!!!

どう頑張ったって、どうせ私は『タヌキ』か『タガメ』か『石こ……

………………

……やめとこう。


こうなりだすと、止まらない。