気まぐれヒーロー




な、何!?なんで私を見たの!?私に何か関係が……!?

ドギマギしていると、ケイジくんはすぐに目を逸らした。


……何だったんだろう。



「まあええわ。俺も何か手伝おか?」



陽気に笑って彼はごく自然に、そう口にした。

その瞬間、目に見えてみんなの様子が急変した。


“手伝う”


まさかケイジくんがそんなセリフを言うなんて、誰もが頭になかったんだろう。


全員動揺してるのが、丸わかりだった。


「い、いいよいいよ!!もうちょっとで終わるから!!け、慧次くんは何もしなくていいから」


メガネ男子が顔を強ばらせ途轍もなく怯えながら、ケイジくんの言葉を拒否した。


「そ、そうだよ。大した作業残ってないし!」
「うん、人手余ってるくらいだもん!だよ、ね?」
「そうそう、だからケイジくんはわざわざそんなことしなくていいよ!!」


メガネくんに続いてクラスメイト達は顔を見合わせ、ケイジくんに対して彼を寄せつけようとしなかった。

クラスメイト達の不自然な笑顔に、どこか引っかかってしまう。


ついさっきまで、彼について散々持ち上げるような言葉を交わしながら、彼が近づこうとした途端それを断った。


自分達とケイジくんの間に、一線を引いた。


私には、そんな彼らの態度が釈然としなかった。
なんか違うんじゃないって。



「……そっか~。なんか邪魔したみたいやな、ごめん。ほな、俺行くわ」



ケイジくんは笑って、教室を出て行こうとした。

何でもないように、普段通りの明るい笑顔で。


でも……そうじゃないんじゃないの?

私には、ケイジくんの心を読むことなんてできない。


だけどこんなのは、嫌だったんだ。



「待って!」



何かに突き動かされるように、去ろうとするケイジくんを呼び止めていた。

彼は振り向くと、きょとんとしながら私を見た。



「あの、これ……手伝ってくんないかな。私、上手く描けなくて」



ケイジくんに、ダンボールで作った小さな箱を差し出す。

私と小春でデコレーションしてた、箱。


ギャルな子に、「いらない」って言われた、それ。



ケイジくんなら、いいんじゃないかと思った。