気まぐれヒーロー



ねじ曲げられた事実を、みんな信じ切ってる。


「私はそんなことしてない!アイツのことなんか、何とも思ってないし。アイツは、私の大切な人を傷つけることを言ったんだよ!」

「下手な言い訳してんじゃねーよ」


ひそひそ陰口言われるのも、嫌悪を露わにした目で監視されるのも、わかりきってたことだ。


『お前と、俺の言うこと。どっちを信じると思う?』


どれだけ叫んでも、無意味なんだ。
最初から私が悪いと決めつけている者には、真実を訴えたところで、届かない。


“まだとぼける気かよ”
“白々しいよな”
“図々しいっていうかさぁ……どんな神経してんだろね”


わかってたことなのに。

実際にそんな状況になって、どうしようもなく歯痒くて……悔しかった。

降り注ぐ言葉の凶器に、身を裂かれる。


負けちゃダメだ。挫けちゃダメだ。


でも

どうすれば、いいの……?


どうすれば……私を信じてくれるの……?


出口が、見えない。

暗闇を彷徨って、光を探し求めているようだった。


「ももちゃん……」


俯いて下唇を噛み締めるしかなくて、小春の不安げな声も通りすぎていくだけだった。


追い込まれ、何もできずにいると──



「ちーっす。……って、何や。もう終わってるやん、授業」



この場にそぐわない、のんきな声が教室に反響した。

反射的に顔を上げる。


その声と共に、教室に入ってきたのは……



ハイジ。



じゃない。



ハイジとそっくりな顔で関西弁を流暢に操る、真っ赤な髪の彼。

5人のレンジャーの中で、最も私と遭遇率の低い彼。



ケイジくんだった。