気まぐれヒーロー



そして放課後。

あと僅かにだけ残っている文化祭の準備に、取りかかる。

歩き売り用の、小さめのダンボールの箱をデコレーションするために絵を描いていた。


「できた!」

「ももちゃん、それ可愛いね」

「そうかな、私絵心全然ないんだけど」

「そんなことないよ、キュートだよ!」


本物のキュートを極めたキューティーハニーちゃんが、私の不格好な絵を褒めてくれた。

キュートの称号を、頂いてしまった。


「え~、それ唐揚げ~?じゃがいもじゃないのぉ?焼きそばもパンチパーマみたいだしぃ。全然美味しくなさそぉ」


キューティーハニーに認められたのに、女王朝美様によって私の絵はボロクソにけなされた。


「じゃああんた描けば!?」

「アサミそーいうの得意じゃないしぃ~」


こ、この女……!!あんたひたすら喋ってるだけじゃんか!!


タコ自慢はいらないんだよ!!



「っていうか……そんなのいらなくない?」



朝美と言い争ってる私に、ふと誰かのかったるそうな声が飛んできた。

刺々しいとさえ感じるその声がした方に、視線を移す。



「あんたの描いたのなんか、使いたくないし」



一人の女子が、冷ややかな目つきでそう吐き捨てた。


この子……本城咲妃の取り巻きの、一人だ。

少し派手めのメイクに短めのスカート、ふわりと香る香水の匂い。


明らかな敵意を、私は向けられていた。

一度も話したこと、ないっていうのに。


「な、なんでそんなこと言うの……?」


小春が、その子に遠慮がちに聞いた。

黒のラインにぐるりと囲まれた目を私に向けたまま、その子はさも当然とばかりに口を開いた。


「なんで?そんなの、決まってんじゃん。人の彼氏に手出すような女の作った物なんか、使いたくないっつーの」


ああ、やっぱり……。

覚悟はしてた。こうなることを。

心の奥で、ちくりと痛みが走る。