「全てこういう時のためなんだよ。じゃねえと、やってられるかよ。四六時中ニコニコして愛想振りまいて、教師や周りのヤツらの期待に応えて……型にはまった“優等生”のフリするなんてよ。騙されるバカ共を見てんのも面白えけど……それ以上にイラつくんだよ。反吐が出そうになる」
剥き出しにされた、田川の本性。この男の正体。
誰もが憧れた“王子様”は、とんだ偽物だった。
いつも見ている顔が、その人の真の顔だとは限らない。
上手く隠しきれない、不器用な人だっている。
でも不器用なほうがいい。裏表に差をつける必要なんて、ない。
田川は……“自分”を隠すことに、長けている。まったく誰も気づかないほどに。
ある意味、感心する。プロも真っ青な役者ぶりに。
どうすれば自分が有利になるか。
どうすれば、周りの人間を計画通りに動かすことができるか。
見事としか、言いようがない。
人は、恐ろしい。
だけど……それでも惹かれるのは、その逆もまたあり得るから。
ジローさんやハイジ達が、私にとってはそうだった。
見た目や噂、行動から絶対近寄りたくなかったし、危ない人達だと思い込んでた。
でも、そうじゃなかった。
知れば知るほど、その印象は私の中で形を変えていった。
いつの間にか……もっと知りたいと、思うようになってた。
「何でもかんでも、上手くいくと思ったら大間違いだよ。あんたは……大事なこと、何もわかってない。人をバカにして見下して、優越感に浸ってそれで自分を満たして満足?違うでしょ?本当は満足してないから、同じことを繰り返すんでしょ。自分より下だと決めつけた人間を虐げて、そうやってストレスの捌け口にしてる。だけど、そんなのいつまでも許されるわけない」
そう、この先ずっとそうしていくつもりだとしても。
「いつかあんたは、自分の過ちを知る時が来る。だって、私はあんたの本性を知ってる。もう完璧じゃないんだよ。私は騙されない。負けないから……私はあんたなんかに絶対負けないから!!」
屈したくないんだ。
人の痛みもわからない、わかろうともしない男に。
たとえみんなが田川に味方したとしても、戦うしかないんだ。


