口を挟むこともできず、歯をギリギリと食いしばり、田川を睨みつけることしかできない。
そんな私の耳に、「なるほどな」という学年主任の、微かな呟きが届いた。
「なんだ花鳥……お前真面目そうにしてるが、風切らと関わってるのか?お前が言ってた“友達”っていうのは、風切のことか?」
「……だったら何だっていうんですか」
デスクに頬杖をつきながら、舐めるような学年主任の目つきに私は耐えた。
この親父の腹の中が、透けて見える。
わかってるんだよ。あんたの言いたいこと。
私を最初っから信じる気なかったんでしょ。田川に肩入れする気だったんでしょ。
「先に風切灰次が、田川にイチャモンつけてきたんだろ。それを話題にしてた田川達の話を聞いて、お前が勘違いしただけじゃないのか?被害者は、田川だろう」
決定的な、言葉だった。
もう何を言ったとこで、この教師は聞き入れてはくれない。
田川の証言しか……信用しないつもりだ。
ハイジがこの件に絡んでると知った瞬間、学年主任は完全に私を否定した。
所詮、こんなものだ。
問題児と優等生。
どっちを取るかなんて、愚問なんだ。
「どうして、田川くんのことばかり信じるんですか……どうして、私の言うことにまともに向き合ってくれないんですか!?私はちゃんと聞いたんです、田川くんがハイジ達のことを悪く言ってるのを!!」
「悪く言ってるって、それは本当のことじゃないのか。あいつらは色々問題を起こしてるからな」
「っ!そんな……」
「先生、もういいです。僕気にしてませんから。今回のことで花鳥さんが反省してくれれば、それでいいですから。彼女もわかってくれてると思います」
横から割り込んできた田川に視線をやれば、ヤツは学年主任に対し貼り付けたような微笑みを見せていた。


