気まぐれヒーロー




“さっきのさぁ、田川くんが本城さんと一緒にいるのが気にくわなくてキレたらしいよ”
“マジで?どんだけ図々しいんだよ。一回フラれてんだろ?”
“っていうかさ、相手されるって思ってんのかな”
“自分の方が可愛いって思ってたり?”
“そうだったらすげえウケる”



私には聞こえないように話してるつもりらしいけど、私が地獄耳なのか、それとも……わざとちょっとだけ聞こえるようにしてるのか。

クラスメイト達の内緒話の内容は、聞き取れた。


“噂”って怖い。


彼らは私と田川達との間に、何があったのか真相を知らない。

だからあれこれ推測する。


田川達が暴言を吐いたのを、彼らは聞いてない。

私が風切兄弟と白鷹次郎の兄と関わり合いがあるなんて、夢にも思わないだろう。

まあ一回ハイジとは鬼ごっこの件で噂にはなったけれど、すぐにそんなのはどこかへ消えた。


ならば思い当たるのは、以前私が田川に告白したということだけ。


つまり、野次馬見学してたヤツらの解釈はこうだ。


──花鳥ももは、まだ田川に未練がある。

田川と本城咲妃が仲良くしているのを見て逆上し、二人の仲を引き裂こうとした



……バカみたい。本当にくだらない。


でも、これが現実。

少しでも浮いた行動をすれば、即座に噂が広がる。
たとえ嘘でも、誰かが言い出せば、あっという間に事実みたいに蔓延していく。


私は田川達が許せなかったから、そうしただけなのに。



間違ってない……よね……?



“間違ってない”


そう思ってなきゃ、ミエナイ圧力に押し潰されそうになる。


本音を言えば、怖い。
すごく怖い。

自分の知らないところで憎まれて、笑われて。
全部私のことなんじゃないかって、被害妄想が止まらなくなる。


……まあもとから妄想激しいけどね。ふふっ。


だけど、ネガティブ妄想はいただけない。