「あ、あのね。新しいお菓子持ってきたんだ、すごーく美味しいから!ももちゃんにもあげるね!」
自己嫌悪に陥る私に、小春は笑いかけてくれた。
彼女の思いやりに、また涙腺が緩みそうになった。
朗らかな小春の笑顔が、闇に沈んだ心に光を与えてくれる。
この前しっかりしなきゃって誓ったとこなのに、小春の方がよっぽどしっかりしてる。
見習わなくちゃいけないとこ、いっぱいある。
「ありがと、小春。食べたい」
今後は偽物の笑顔じゃなく、ちゃんと笑えたかな。
「うん、食べよ!えへへー」
パアって、小春の顔が輝いた。
彼女のその可愛い笑顔が嬉しくて、つられて私も頬を緩めていた。
二人で一緒に教室に入ると。
「きゃー、ももぉ!!あんたってば朝から略奪愛に走るなんて、スゴイ度胸してんじゃ~ん」
一匹のタコさんが出迎えてくれた。
あれ?ここ学校だよね?いつの間に海中に迷い込んだ?
とりあえず、挨拶しといた方がいいかな。
「おはようタコさん」
くねくねしているタコさんに、にっこり微笑んでみせた。
「え、タコ?タコいんの?タコどこ?」
自分がタコのくせに、タコさんはきょろきょろと辺りを見回していた。
何やってんだいと思って、タコさんに訝しげな視線を送る。
よく見てみたら朝美だった。
「なんだ、朝美じゃん。タコじゃないじゃん」
「何言ってんのあんた。それよりさあ、ももったら田川くんを彼女の咲妃ちゃんから奪おうとしたんでしょお!?大人しいフリしてやるよね~」
ああ……なんとよく通る、お声だこと。
教室中に響き渡ってるじゃないか。
……ふっ。
素晴らしい。
やはり女王。
素晴らしく空気が読めない。
まさに最強の生物。
もはや誰にも、朝美には適うまい。
すごいよこの人。
私なんかこの人の前じゃ、余りにも無力……!!


